哲学の並木道

自分のための自分語りブログ

神絵師のフォロワーに金を払って推しを描いてもらった話

個人的に神絵師という言葉はあまり好まないのですが、あえて短くキャッチーなタイトルにするためこの言葉を選びました。

 

先日、Twitterの相互フォロワーであり敬愛するイラストレーターであるTarai氏に、お仕事として依頼してイラストを描いていただきました。

その結果いいことづくめだったので、こうやって個人的に依頼するのがもっと流行ればいいなという希望を含みつつ、長々と感想を書きます。

 

 

Tarai氏について

まず初めに、今回依頼を受けてくださったTarai氏(@aitarai)について紹介します。

氏は任天堂作品とトランスフォーマーを中心に活動中の、ビビッドな色使いと臨場感のある情景描写が魅力のイラストレーターです。

 

www.pixiv.net

私が氏のファンになるきっかけとなった一枚です。私の一番好きなポケモンミロカロスを魅力的に描くことに定評があります。

 

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背景に重点を置いた作品も多く、息を呑むような美しい世界に引き込まれます。

 

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最近はスプラトゥーンのイラストを多く描かれています。持ち前の色使いとスプラトゥーンのインクの色鮮やかさが調和して最高にイカしてますね。

 

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キャラクターメインのイラストでは色使いのセンスがさらに際立ちます。なんでそこにその色置いてうまくまとまってんの意味わかんない好き(半ギレ)

 

 私は専門外ですが、ロボットもかっこよく描かれます。

 

挙げ始めるとキリがない!さあ今すぐPixivとTwitterをフォローするんだ!!!!!

 

私にとっては憧れの存在で、今ほどフォロワーが多くない時代だったとはいえフォローが返ってきたのは奇跡だと思っています。

氏は若く、年下ではありますが、ブレない自分の軸を持っていることや好きなものに全力を注ぐ姿勢など、創作だけでなくあらゆる面で尊敬しています。

 

では、本題に入ります。

 

依頼までの経緯

描きたいイメージはあるけど描けない

私はこれでも絵描きの端くれで、物心ついた時から描くことを趣味としてきました。

しかし2017年の年明け直後から多忙に追われ、ほとんど絵を描かない時期が半年ほど続きました。

描かない時期が長引けば長引くほど、アイデアも湧かなくなり、絵としての出力方法もわからなくなってしまい、ごく稀にペンを握ってはすぐ投げていました。

そんな中、Nintendo Switch版カービィの発表で登場したナゴを見て、そういえば未プレイだったな〜と何気なく始めた「星のカービィ3」。

本題から逸れるので詳細は省きますが、結論だけ書くとどハマリしました。

くすぶっていた創作意欲に火がつき、カービィとグーイの絵を描き始めました。 

 

しかし長い間絵を描かなかったことにより、らくがきレベルの絵しか描けなくなっていました。

「2人がいろんなところを旅する絵を描きたいなあ」なんてぼんやりしたイメージはあったのですが、一枚絵として成り立つ構図が思い浮かばず、勢い任せに描いてみてもなんだか全然まとまらない。

見たい絵はあるのに、うまく絵にすることができませんでした。

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苦悩の跡


人に依頼するという発想

時期を同じくして、Tarai氏のイラストレーターとしての活動が活発になり、Twitterでイラストを目にすることが増えました。

依頼を受けて描いたというイラストも多く、このとき氏のプロフィールを読んで、イラストの仕事を募集中であることを知ります。

見たい絵を自分で思うように描けないことと、ファンとして好きな絵をリクエストしたい気持ちが相まって、日に日に依頼について真剣に考えるようになりました。

 

いろんなことを考えましたが、最終的に決定打となったのは「今が最高のチャンス」という考えです。

将来はもっと名前が売れて忙しくなり、個人の依頼なんて受けられなくなっているかもしれない。逆に、心身や環境に変化があって描くのをやめてしまうかもしれない。ある日インターネットから消えて、連絡手段がなくなることだってありうる。実際に、そんな人は何人も見てきた。

いつかお願いしたい、なんて悠長に考えていたら、チャンスを逃してしまうかもしれない。

そう考えて、今このチャンスを逃すまいと、依頼を決意しました。

 

(追記)描けなくなった問題の解

読み返して、自分が描けなくなった問題について投げっぱなしのように見えたので、補足します。

 

単に、自分で描けなくなったから依頼に逃げた、ということではありません。

自分で描きたくても描けなかった題材を依頼した、というのは題材選びの一要因でしかなく、その挫折があろうとなかろうと、Tarai氏の作品として見てみたい題材があれば依頼していたと思います。

下手に自分の挫折の話を絡めてしまったので主題がぼやけた気がしますが、この記事で伝えたかった主題は 好きなイラストレーターに好きな絵を描いてもらうの最高 です。

 

今回は、見たい絵があるという課題を依頼によって解決しましたが、それはそれとして、きっと私はこれからも細々と描き続けるでしょう。

 

依頼側が気をつけること

ここからは、依頼するにあたって気をつけてよかったと思ったことを書きます。

敬意を忘れない

金を払っている側が傲慢になるという話はどの業界でもありがちですが、依頼側は「自分にできないことだから依頼している」という意識を欠いてはならないと思います。

特に芸術分野においては、その人の作品はその人にしか作れません。

相手の仕事に敬意を払い、些細なことでも感謝しながら進めることで、お互い気持ちいいやりとりができたと感じています。

こんなことは書くまでもなく、少しでも働いたことのある人なら当然持っている感覚だと思いますが、たまに企業のイラスト依頼メールでもひどいものが晒されていたりして、客だからと傲慢になる人は意外と多いのかもしれないと思い、念のため書いておきました。

(でもそういうタイプの人が仮にこの記事を読んだとしてもそれぐらいで改めるとは思えないしやっぱり書く必要なかったかもしれない)

 

何事もまずは確認

上の話と少し似ていますが、自分の希望を「やってもらって当然」と思わずに、確認しながら進めることが大事です。

依頼を受けてもらえるかどうか

まずはこれを確認しなければ始まりません。受けてもらえる前提で話を進めるのは論外です。

私の場合はまず「個人の依頼を受け付けているかどうか」の確認から始まり、依頼したいイラストの概要と予算をお伝えして、承諾いただいてから詳細を詰めていきました。

お金まわり

金額の付け方、契約方法、支払い方法、などはイラストレーターによって異なるでしょうから、事前に確認するのが無難です。

作業の進め方

これもイラストレーターによって異なるかと思います。

途中経過をチェックしながら進めたいなどの希望がある場合は、事前に申し出ておくとスムーズに進みます。大きな手戻りが発生するとイラストレーターに負担がかかるだけではなく、追加料金が発生する可能性もあるので、進め方は事前に相談して決めておきましょう。

今回のイラストは厚塗りだったので後からの微調整にも対応していただけましたが、アニメ塗りのようにレイヤー枚数の多い作品だと色を塗った後の修正が大変なので「線画の時点で一旦チェックを挟む」などと事前に決めておくと良さそうです。

 

相手の趣味や作風にあった依頼をする

これも当たり前ですが、相手の得意分野で依頼するのがベストです。無理なく楽しく描いてもらえるというのは、作品の仕上がりに大きく影響すると思います。

萌え絵描きには萌え絵、リアル絵描きにはリアル絵。餅は餅屋です。

 

二次創作を依頼する場合は、その作品を知っているかどうか、さらに言えばその作品を好きかどうか、でイラストレーター側の負担が大きく変わります。

知らない作品のキャラクターだと下調べや練習の時間が必要になりますし、付け焼き刃の知識では依頼側の期待するキャラクター像と異なるイラストに仕上がってしまうリスクがあります。

ただ、それでもこの人の描く〇〇が見たい!というケースもあるかと思いますので、そこは相談なり布教なりして対応してください(雑)

 

さいごに

今回描いていただいたイラストを、小さいサイズでご紹介いたします。

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景色はあえて作中のファンタジックなものではなくリアル寄りでお願いすることで、「地球のどこかに彼らが遊びに来ていたかも?」と夢を感じる作品になりました。

それでいて、空気や水の透明感、光が醸し出す神秘的な雰囲気は現実離れしていて、人間が立ち入ることのできない聖域という印象を受けます。私は草になりたい。

釣りに来たはずなのにちょうちょに気を取られて本来の目的を忘れるグーイと、いつものことだからと意に介しないカービィ。お互いの扱いは結構テキトーだけど、一緒にいるのがしっくりくる。構図を依頼するにあたり、私自身の考える二人の関係性について見つめ直す機会となりました。

 

快く引き受けてくださり、最高の仕事をしていただいたこと、心より感謝します。

Taraiさん、ありがとうございました。